複雑な海岸線の長さは、尺度を固定した定規を用いて近似的に測定できる。尺度を小さくすると近似の精度は向上し、大きな尺度の定規で測定した場合よりも長い値が得られる。尺度を限りなく小さくしていけば正確な海岸線の長さが測定できそうに思われるが、実際にはこの過程で海岸線の長さは無限大になってしまう。この現象は海岸線のパラドックスと呼ばれる。ここから、1次元的な測定器である定規(1次元ハウスドルフ外測度)では、海岸線のような複雑な図形を適切に捉えられないことが分かる。
本授業では、海岸線のように複雑な図形の「大きさ」を測定するための道具として、s次元のハウスドルフ外測度(sは非整数でもよい)およびハウスドルフ次元を扱う。海岸線は一種のフラクタル図形と考えられ、例えばイギリス西海岸のハウスドルフ次元は約1.24であることが知られている。簡単なフラクタル図形についてハウスドルフ次元を計算できるようになることが、本授業の目標である。
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